株式会社Honeycomeによる特別講義を開催
2026.06.30
2026年6月18日、神戸市立工業高等専門学校で株式会社Honeycome(以下、ハニカム)による特別講義が行われました。
講義にはCEOの大和 毅さんやCOOの田中 健さんら同社の経営陣が登壇。電子工学科4年生に向けてキャリア形成のヒントとなるアドバイスを送りました。
ーー “うれしい”をつくりだし、喜びの輪を広げる
特別講義は活気あるあいさつで幕を開け、初めにCOOの田中さんがハニカムの概要や事業内容を紹介しました。
ハニカムは2017年に東京で創業したIT系ベンチャー企業です。2022年に神戸へ本社を移転し、地域とのつながりを大事にしながら成長を続けています。
同社の社名の由来は、英語で蜂の巣を意味する「Honeycomb structure」。蜂の「ハチ」と数字の「8」を掛け合わせ、8は縁起の良い数字とされることから、「幸せが集まり、蜂蜜のように良いものを世の中に還元する会社でありたい」という思いが込められています。
経営陣は全員エンジニア出身で、過去に厳しい労働環境を経験。その体験を原点に、エンジニアが安心して働ける「ホーム」のような会社づくりを目指してハニカムを設立しました。「うれしいをつくりだす」を理念に掲げ、利用者の喜びが開発者の喜びにもつながる価値創造を追求しています。
現在は自社プロダクト事業とクライアント事業を軸に活動を展開。給与計算システム「CALKS(カルクス)」や届出システム「ソノバ」の開発・提供、受託開発、SES(システムエンジニアリングサービス)、DX・AI活用支援などを通して企業や行政の課題解決に挑んでいます。また、地方在住・外国籍・若手エンジニアの育成やコミュニティの形成により日本のIT人材不足の解消や地方創生を目指す「うれシェア」を推進。外国籍スタッフの採用や海外との事業連携などにも力を注いでいます。
自己紹介の後は、アイスブレイクとしてアンケートを実施。学生たちはパソコン画面に表示されたQRコードをスマートフォンで読み取り、「卒業後に考えている現在の進路は?」「仕事を選ぶときに重視したいものは?」といった質問に回答し、リアルな思いや考えを共有しました。
ーー 企業が評価するのは、完璧を目指さない人材
アイスブレイクを終え、講義はいよいよ本題へ。掲げたテーマは「AI時代のエンジニアに必要な考え方」です。技術の変化が激しい時代を生き抜き、エンジニアとして活躍するための思考について学んでいきます。
まず、若手エンジニアが陥りがちな考え方として挙げられたのが、「技術の習得そのものが目的になってしまうこと」。しかし、本当に価値が生まれるのは、その技術を活用して誰かの課題を解決した時だとし、技術の習得だけにとらわれるのではなく、「何のために技術を使うのか」という目的意識を持つことが大事であると語りました。
そして、企業が高く評価するのは特定の言語や知識を持つ人材ではなく、それらを活用して売上向上やコスト削減などの課題を解決できる人材だと強調。ビジネスの現場では「完璧よりも、まず世に出すこと」が重要であり、ひとまず60%程度の形にして利用者の意見を取り入れながら100%に向けて改善を重ねていく姿勢が求められるとも述べました。
ーー 学びと実践の継続は、将来の自分への投資
次に、人生を大きく変える要素として示されたのが「情報の先取りの大切さ」です。世界の最前線で起こっていることに常にアンテナを張りながら、ChatGPTやCursorなども流行する前段階でキャッチし、自ら試して活用することが大事だと言います。1人での情報収集には限界があるため、人との情報交換やコミュニティへの参加を通じて情報源を広げることも必要だとし、学習と実践を継続できる人が長期的に大きな成果を得るだろうと伝えました。
社会に出ると勉強の時間を確保することが難しくなりますが、「成長する人は忙しい中でも知識の習得やスキル向上に取り組んでいる」と明言。「学校で学ぶことの全てが成長の礎となり、特に情報収集力と発信力がカギ。情報を集め、理解し、発信することが自身の力となる。日々の学習や発信活動を将来の自分への投資と捉え、積極的に取り組んでほしい」と力強く呼びかけました。
これからのエンジニアには、目覚ましく進化するAIを効果的に活用し、1人が生み出す成果を何十倍にもする能力が求められます。けれども大事なスキルはそれだけではありません。
「エンジニアは人の課題を解決する仕事であるため、技術力だけでなく、聞く力・伝える力・協力する力といったコミュニケーション能力を磨くことも怠ってはいけない」と説きます。
そして「技術ができる人ではなく、価値を生み出せる技術者を目指してほしい」と締めくくり、静かな口調ながらも熱意の伝わる講義に、学生たちは聞き入っていました。
ーー 課題があるところに仕事はある
続いてCEOの大和さんが登壇し、「働くということ、挑戦するということ」をテーマに仕事の本質について語りました。
自身の経験を踏まえ、「課題があるところに仕事がある」との考えを示した大和さん。日本の少子高齢化や地方の人口減少、デジタル化の遅れなど、社会が抱える課題は新たな仕事を生み出す機会でもあると指摘しました。また、AIの発展によって大きく変化する社会の動きを前向きに受け止め、AIを課題解決に生かすことの重要性についても説明しました。
「日常生活の中でも課題を見つける視点を持つことが、新しい価値の創造や仕事につながる」。今からでも意識できるこの考え方は、多くの学生にとって新たな気づきになったのではないでしょうか。
AIの急速な進化により、IT業界は大きな転換期を迎えています。大和さんは「エンジニアがプログラムを書くだけの時代は終わった」と述べる一方で、「人の課題を理解し、最適な解決策を考える力やコミュニケーション能力は今後も重視されるため、エンジニアの需要は変わらない」と断言します。翻訳技術の進歩によって海外企業との共同開発が進み、グローバルな働き方が身近になってきたことや、AIの普及に伴いセキュリティ分野の強化が不可欠になっていることにも触れ、エンジニアの活躍の場が広がっていく可能性を示唆しました。
今後成長する分野としては、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、人の代わりに作業を行う「フィジカルAI」を紹介し、これからのIT人材には幅広い技術と柔軟な発想が求められると伝えました。
ーー “攻め”と“守り”をバランスよく
「仕事では、“攻め”と“守り”のバランスを意識しながら挑戦することが大切」というのが大和さんの持論。“攻め”とは、自ら課題を見つけて行動し、仕事を追いかける姿勢のこと。その積み重ねが充実感につながるとし、大きな目標を実現するには仲間との協力が欠かせないと力説しました。
その一方で、挑戦を続けるためには心身の健康を“守る”ことも重要だとし、自身の入院経験を交えながら「無理をしすぎず、できることに全力を尽くして」と優しく語りかけました。
最後は「技術の向上に目を向けるだけでなく、何のために働くのかという使命を持ち、攻めと守りのバランスを意識して挑戦してほしい」と学生たちに熱いエールを送り、大きな拍手とともに講義は幕を下ろしました。
ーー 講義を受けて〜学生たちの感想
学生たちは今回の講義で、IT業界の第一線で活躍する人たちの考え方や経験に初めて触れ、大きな刺激を受けたようです。
学内の仲間たちとフィジカルAI関連のスタートアップを間もなく立ち上げるという学生からは、「いいタイミングで起業した人の話を聞けてよかった。これまでは技術力こそ最大の強みだと思っていたが、技術だけでは勝てないことがよくわかった。大切なのは何を生み出すかだけでなく、それがユーザーにどのような影響を与えるのかを考えることだと感じた」との声が聞かれました。
また、ゲーム等のソフトウェア開発に携わるエンジニアを目指している学生は、「技術の変化が激しい業界を生き抜くために必要なマインドについて聞けたことは大きな収穫だった。技術者が集うSNSは困ったときに情報を探す程度で利用していたが、今後は日常的に活用し、情報収集の習慣を身につけていきたい」と目を輝かせました。
ーー 講義を終えて〜神戸で描くハニカムの未来
講義後、大和さんは「とても真面目な学生さんばかりで、我々の問いかけにも反応が良く、積極的に講義を聞いてくれた」と微笑み、充実した時間を振り返りました。
そして講義では触れなかった、IT業界から見た神戸の魅力や今後の展望などについても言及しました。
地方でもエンジニアが活躍できる環境をつくり、IT業界の裾野を広げたいと考えていた同社は、神戸市とスタートアップ企業による地域課題解決プロジェクト「Urban Innovation KOBE」(現Urban Innovation JAPAN)への参画を機に、神戸へ本社を移転しました。イノベーションを推進するまちの姿勢や、港町として培われた国際性に惹かれ、学生が多く若手人材の確保が見込めることも神戸進出を後押ししたと言います。
神戸のまちの魅力について、田中さんは「海と山、都市部と農村部が近接した環境は、さまざまな実証実験を行いやすく、スタートアップが基盤を置く地として理想的」と評価。大和さんも「大企業が多く、Microsoft AI Co-Innovation Labもあり、当社にとって事業を展開しやすい地域」と実感を込めます。
今後は自社のエンジニア育成プログラムを活用した地域学生の成長支援、産学連携の推進、地域企業との交流、身近な地域課題の解決などに取り組むとともに、子ども向けIT教育への参入も計画しているという同社。大和さんは「今回の講義が新たなつながりを生むきっかけとなればうれしい。同社の存在を知ってもらう活動を神戸で続け、地域に貢献できる会社を目指したい」と意欲を見せました。
<株式会社Honeycome>
設立 2017年
代表者 代表取締役 大和 毅
事業内容 自社プロダクト企画・開発・運用、Webシステムの受託開発、SES事業、エンジニア育成・教育事業「うれシェア」など
所在地
■本社 兵庫県神戸市中央区磯上通4丁目3-10IPSX EAST 1206号
■東京営業所 東京都千代田区神田和泉町1番地6-16 ヤマトビル405
