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iCOM技研株式会社

iCOM技研株式会社

ロボット産業にイノベーションを起こす
高度人材の獲得を目指して

2024.03.06

iCOM技研株式会社代表取締役山口 知彦 氏

三宮~神戸(オフィス)

兵庫県小野市に本社を構えるiCOM技研株式会社は、協働ロボット事業を中軸に据え、労働力不足の解消と生産性向上の実現に取り組んでいます。近年、産業用ロボットの市場は勢いよく成長を続けており、その流れに乗って事業拡大を目指す同社は、今春神戸に新たな拠点を開設しました。代表取締役の山口知彦氏に神戸進出の目的やこれからの事業展開などについてうかがいます。

活躍の場を広げる協働ロボットに着目

integrated のiとcommunication のcomを合わせて名付けたiCOM技研株式会社は、この2つの言葉を和訳した「統合された相互理解」という理念のもと、お客さまとの対話を大事にしながら問題点の原因を解決するため前進を続けてきました。私1人でスタートした会社も気づけば今年創業20周年を迎えることとなり、足跡を振り返ると感慨深いものがあります。

設立当初から制御盤の設計製作やメンテナンス業務などを中心に事業を展開し、2018年にロボット事業を追加しました。現在は協働ロボットを活用した機械システムの導入提案や設定、組み立てなどを行う協働ロボットシステムインテグレーターとしての事業拡大に重点を置いています。分業が一般的なロボットシステム開発を一貫して行うことができるのが当社の強み。規模は小さいながらも機械設計、電気設計、ソフトウェア開発まで全てをサポートできる体制を整えているのは業界内でも珍しいと思います。

協働ロボットは産業用ロボットの1つで、製造現場などにおける人手不足の解消と生産性の向上を目的として開発されました。これまでの産業用ロボットは大手企業の工場に導入されることが多く、安全柵で囲われた生産ラインの中で人とは分離されて単純作業を行っていました。しかし近年の技術革新により、人と協力しながら同じ空間で作業ができる協働ロボットが誕生し、設置場所を選ばず用途、予算に柔軟に対応できるようになったことから中小企業にも活用の裾野が広がっています。

見切りをつけたロボット業界に再挑戦

私は起業するまでロボットシステム、制御関連の会社で働き、ロボットづくりに携わっていました。でも正直なところ、当時はアンチロボットだったのです。かつての日本のロボット産業は、自動車がらみでしか生きていけない厳しい実情がありました。またロボット自体の自由度も低く、生産性の向上を求める世の中の声に応えたくても応えられないジレンマを抱えていました。私はこのような現実に直面してロボット業界の将来が見えなくなり、距離を置くことにしたのです。ところが、協働ロボットと出会ったことでロボットに新たな可能性を見出し、市場も成長していることから再びチャレンジしてみようという意欲が芽生えました。

4、5年ほど前までロボットはオーダーメイドが主流で、お客さまの要望に応えて一から製造していました。けれども今は、パソコンと同様に標準的なアプリケーションをお客さまに案内して選択してもらうスタイルへと変化し、ロボットが一般化する流れが始まっています。アパレル業界に置き換えて言えば、一点もののオートクチュールから高級既製品のプレタポルテに変わっていく段階にある。人の代わりに作業を行うロボットへの関心はあらゆる業界で高まっており、当社にも追い風が吹いていると実感しています。

働く意欲を高めるオフィスづくりに注力

神戸オフィスはロボットシステムソフトウェアの開発拠点として新設し、今春より稼働を始めています。物件探しでは利便性や眺望、エントランスからテナントに入るまでの雰囲気を重視したのですが、思ったより難航し、ようやく巡り合えたのが元町・栄町通に建つ神栄ビルでした。先に挙げた条件を全てクリアし、賃料とのバランスが良かったことに加え、同ビルに入居している知人の評価も高く、「もう一部屋借りたいくらい」との言葉に安心し契約しました。

新オフィスはデザイナーの力を借りて空間づくりに力を注ぎました。コロナ禍でリモートワークを希望する人が増えていますが、オフィスの雰囲気と立地は優秀な人材の獲得や採用後の定着率と密接に関わるという自説があり、出社意欲につながる空間にしたかったのです。壁や床の色、デスクの配置などに変化をつけることで各スペースでの働き方をイメージしやすくするなど、随所にこだわりを詰め込みました。
緻密な作業を積み重ねるシステムエンジニアの仕事は想像以上に過酷です。ストレスを緩和する快適な職場環境を実現することで、仕事のモチベーションアップにつなげたいと考えています。

神戸のブランド力と進出支援制度を活用

当社が神戸へ進出した一番の目的は高度人材の獲得です。以前、兵庫県立大学で就職説明会を行ったときに「会社は小野市にあります」と言うと、多くの学生から「小野市ってどこですか?」という反応が返ってきました。近隣大学の学生ですら認知していない地域にある当社は、立地面ですでに就職対象外なのだということを肌で感じたのです。
神戸は「神戸ビーフ」と言えば世界の人に通じるほどの知名度とブランド力があり、学生の受けもいい。採用活動では第一印象で好感を得ることが非常に重要で、神戸に拠点を持ったことは大きなアピールポイントになるだろうと期待しています。

同業者が多く集まる新大阪や江坂も進出候補地として視野にあったのですが、人の流れが多すぎて私には合わない気がしました。兵庫県民としてはやはり神戸の方が馴染み深く、神戸市産業振興センターや新産業創造研究機構(NIRO)へ行けば気軽にあいさつを交わしたり困ったときに助言をもらえたりする知り合いも多くいます。応援してもらえる基盤がすでにあるということは、やはり心強いものですね。
また、オフィス賃料等補助金制度が活用できたことも大変ありがたかったです。進出にかかる費用負担を抑えられ、神戸に決めて正解でした。

神戸で実績をつくり、競争力をつけていきたい

近年、ロボットとAIは切っても切れない間柄になってきており、今後は当社でもAIを活用したロボットシステムソフトウェアの開発に力点を置いていく方針です。そして独自性を高め、世界を渡り歩いていく競争力を培っていきたいと考えています。

神戸の次は日本のロボット関連事業の中心地である東京への進出を計画しています。そのためには、まず神戸で優秀なシステムエンジニアを確保し、実績づくりに励まなければいけません。神栄ビルのオーナーさんには「もっと会社を大きくして、ワンフロアを借り切れるようになるまでがんばります」と宣言しました。当面はそれを目標に努力を重ねていきたいと思います。

iCOM技研株式会社山口代表取締役と神戸市担当職員
iCOM技研株式会社

iCOM技研株式会社

設立 平成19年11月1日
事業内容
協働ロボットシステム開発・教育、制御盤設計・製作・施工、板金加工(レーザー溶接、切断、曲げ)
所在地
■神戸オフィス/兵庫県神戸市中央区栄町通2丁目4番13号 神栄ビル8階
■本社/兵庫県小野市敷地町811番地1

URL https://www.icom-giken.com/

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