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中西金属工業株式会社

中西金属工業株式会社

神戸進出で課題だった
BCP対策に取り組む

2021.10.01

中西金属工業株式会社代表取締役社長中西 竜雄 氏

神戸テクノ・ロジスティックパーク(産業用地)

ベアリングリテーナーの専業メーカーとして、大阪で看板を掲げた中西金属工業株式会社。2024年に創業100年を迎える老舗企業が、新工場の建設地に選んだのは神戸でした。コロナ前からリモートワークを取り入れ、労働時間の削減や女性雇用を推進するなど、改革に積極的な同社。神戸に拠点を持った目的や実現させたいことなどを、代表取締役社長 中西竜雄さんに聞きました。

中西竜雄 氏

産業界を下支えする高い技術力

当工場は高精度な冷間圧延と熱処理の技術を用い、さまざまなニーズに応える鋼材圧延を事業としています。各種自動車部材や産業機械用鋼材に使われるコイル材及びシート材を中心に製造し、産業界に広く提供しています。

また、創業時より手掛けているベアリングリテーナー(軸受保持器)は、あらゆる産業界で重要な役割を担ってきました。なかでも、高速鉄道車両のベアリングリテーナー材に関しては、当工場より供給されており、国内シェア100%を誇っています。

長年の経験と培った技術力を生かし、近年は「イノベーション&グローバル化」をテーマに事業を展開してきました。自動車生産のコンベアシステムの構築や住宅関連部品の製造の他、住宅リフォーム、旅行代理店、ホテル事業など活動の幅を広げています。

生産体制の変化を見据えて

2021年に天満工場と播州工場を合併し、神戸テクノ・ロジスティックパーク(神戸複合産業団地)に神戸工場を開設しました。

日本は少子高齢化で、今後ますます働き手が減少します。将来を見据え、人材不足になっても生産やオペレーションに支障が出ない工場を目指しました。無駄のないレイアウトや動線を検討し、プロセス間の搬送を自動化するAGVを導入。広い空間を生かして通路幅も十分に確保しました。まだ余裕があるので、新しいラインを組み込むことも容易だと思います。

我々の仕事は職人の経験値に頼る部分も大きいのですが、可能な限りスキルのデジタル化を進め、高い品質を維持していくことが次の目標です。

中西金属工業株式会社 神戸工場
(設計:遠藤秀平建築研究所)

BCP対策が企業の未来を握る

神戸工場を建設した一番の目的は、BCP対策を強化することでした。天満工場は明治時代に建てられたレンガ造りで趣はありますが、建物は古く耐震面に不安があります。近い将来必ず起こると言われている東南海・南海トラフ地震の影響による浸水により、全ての機能を完全に失ってしまいます。さらに、九州から関東までの広域で地震が発生すれば、支援を受けるのも難しい状況となるでしょう。

当社の工場がストップすると、日本の産業界に多大な迷惑をかけることになります。万が一の事態にしっかり備えておくことが、社会に対する我々の責任です。その為の工場建設も事業を継続するためには必要な投資だと考えました。BCPへの取り組みはSDGsにもつながり、グローバルな仕事をしていく上では避けて通れないことだと思います。

神戸市の計らいと優遇制度に感謝

新工場の建設を神戸テクノ・ロジスティックパークに決めたのは、いよいよ最終候補地を決定しないといけないというタイミングで、兵庫県の企業誘致担当の方が声をかけてくださいました。実は以前、同地に良い場所がないか探したことがありましたが、その時は空きがなく断念した経緯がありました。

ところが、ご紹介いただいた土地は区画が広くて値段も高かったので、購入すべきかどうか迷っていたところ、神戸市の担当者が土地を半分に割りましょうと言ってくださり、これも何かのご縁かと思い決定させてもらいました。

神戸市企業拠点移転補助制度をはじめ、さまざまな制度もフル活用させていただきました。土地取得の際に最大55%まで割引が受けられたおかげで、募集価格の2分の1以下の金額で購入することができ、大変助かりました。固定資産税の減免もあり、本当にありがたいことだと思っています。

頑丈な地盤とアクセスの良さが魅力

神戸テクノ・ロジスティックパークの地盤が岩盤であったこともあり、地面に直接アンカーを打ってワイヤーで引っ張るアースアンカーという特殊工法を採用しました。建設時に杭を打たなくて済み、工期も短かくなり、コストも削減できて満足しています。建築家遠藤秀平氏がこだわった、やわらかな曲線を描く外観デザインも気に入っています。

中西金属工業株式会社 アンカー

神戸テクノ・ロジスティックパークの魅力は、流通拠点としての機能性の高さにあるのではないでしょうか。高速道路のアクセスが良好で、全国各地への配送が非常にスムーズです。公共交通の利便性にも優れ、大阪からも十分に通勤圏内です。従業員は毎日三宮からバスで無理なく通っています。

街の魅力を事業の発展につなげて

神戸は街並みが美しく住みやすい、誰もが憧れる居住区だと思います。海外からの文化も融合し、山側と海側とでは違った良さがありますよね。震災後に大きく生まれ変わりましたが、今はさらに都市開発が進み、より洗練されてきています。オフの時間を楽しめる街に工場やオフィスがあることは、働き手にとって魅力的なのではないでしょうか。

こうした街の力を糧に、我々も一層事業に励んでいきたいと思っています。今後、神戸工場が取り組んでいきたい分野は基礎研究・開発です。今はアウトソーシングしていますが、自社で設備を整え人員を配置し、素材や製品の研究と開発に注力できればいいですね。常に時代の先を読み、イノベーションを創造しながら、お客様の期待に応えていきたいと思います。

中西金属工業株式会社の方々と神戸市担当職員
中西金属工業株式会社

中西金属工業株式会社

設立 1941年(昭和16年)6月19日
事業内容 ベアリング・リテーナー・コンベア及び自動制御装置・サッシ用戸車・住宅関連製品・ゴムシール・精密金型・無人搬送車(AGV)・各種金属プレス加工品・各種樹脂射出成形品・冷間圧延鋼板などの製造販売 他
所在地
■本社/〒530-8566 大阪府大阪市北区天満橋3丁目3番5号

URL  https://www.nkc-j.co.jp/

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