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ピープリンクス株式会社

ピープリンクス株式会社

神戸でも障がいのある人と社会をつなぐ
架け橋になりたい

2022.01.11

ピープリンクス株式会社代表取締役桑迫 正賀 氏

三宮~神戸(オフィス)

1999年より障がい者就労支援サービス事業を行うピープリンクス株式会社。障がいを持つ人たちの働き方をより多様化したいと、この度「グローバル・コンセプト神戸」を新設しました。神戸で成し遂げたいことや未来について、代表取締役の桑迫正賀さんに聞きました。

桑迫 正賀 氏

障がいを個性ととらえる働き方を支援

当社では、オフィス業務の経験やオフィスワークに意欲的な障がいを持つ人を雇用し、能力の向上を図りながら心を支え、一般就労への移行や当社での就労継続をサポートしています。データ入力、翻訳、DTPデザイン制作、WEB制作など、さまざまな業務をアウトソーシングとして請け負い、障がいがなければ浮かばない発想や視点で、社会に貢献してきました。

長く京都に拠点を置き、事業を展開していましたが、2022年1月より新たに「グローバル・コンセプト神戸」を設立し、活動の幅を広げることとなりました。立ち上げたばかりで、業務内容はまだ明確に定まっていませんが、アンケート集計や報告書の作成など、パソコンを使ったオフィス業務を中心に行っていく予定です。開設当初から予想を上回る問い合わせをいただいており、優良施設として京都市から表彰された実績も持つ私たちの活動に、多くの人が関心を寄せてくださっていることを、大変嬉しく思っています。

どんな時も立場の弱い人の味方になる

私自身の過去の経験から、立場の弱い人や困っている人のために尽くしたいという思いが芽生え、就労支援事業を始めました。若い頃に、大学教員か起業家のどちらの道に進むか悩み、結果的に起業家を選択したのですが、うまくはいきませんでした。厳しい状況が続く中、心の支えになったのは家族と友達。そばにいてくれるだけで安心でき、再起に向けて自分を奮い立たせる原動力になりました。

障がいのある人たちも、人知れずさまざまな問題や悩みを抱えています。私が直接、解決することはできなくても、話を聞き、気持ちに寄り添うことはできると思ったことが、今につながる原点です。

事業がスタートした頃は、障がいがある人の気持ちや立場が汲みとれず、苦労したこともありましたが、交流する中で理解を深め、どんな時も味方でいることの大切さを肌で学びました。

神戸は働き方や暮らしを描きやすい街

新拠点の候補地をリストアップする中で、東京や大阪はあえて視野に入れませんでした。この2都市は、仕事の数が圧倒的に多いのは周知の事実ですが、家賃や生活費など実際に住むことを考えると、現実的ではありません。かたや、風光明媚な地方は心地良く暮らせるかもしれませんが、仕事を探すのに苦労します。今回、私が重視したのは、都市機能をバランス良く備え、自然や遊びのスポットが身近にあり、生活基盤が整っている街であること。その点において神戸は非常に魅力的でした。

また、神戸は私が生まれ育った地であり、馴染み深かったことも、拠点を決定する上で少なからず影響しています。いつも応援してくれる人たちに、活躍する自分の姿を間近で見てもらいながら、次のステップへ進む準備をしたいという気持ちもありました。神戸市からオフィス賃料等補助制度の認定を受けられたことも大きな励みになり、この地に根ざして頑張っていこうと志を堅くしました。

働く環境が仕事のやりがいになる

私は、職場環境は仕事へのモチベーションにつながる重要な要素だととらえています。当社は設立時から看板に就労支援A型事業所と表記せず、障がいのある人が気持ちよく働ける環境づくりに配慮してきました。就労支援の事業所は、中心部から離れた場所にひっそりとあることが多く、その印象から、働き手や仕事内容にネガティブなイメージを抱く人もいます。それを払拭したいという思いから、神戸では立地にこだわりました。

ご縁で入居を決めた三井神戸ビルは、目の前に大丸があり、おしゃれなショップが軒を連ねる旧居留地に建っています。私は、自分の職場がこんなに洗練された街の中にあるというだけで誇らしく、毎日ワクワクしながら通勤しています。当社の利用者さんたちにも、同じような思いを持ってもらい、外に出て働くことで広がる世界に、新たな喜びを見出してもらえると嬉しいですね。

障がいを持つ人への社会理解を深めたい

当社には、障がいを持ちながらも真面目に仕事と向き合う人が多く、就労先はおおむねスムーズに決まります。ですが、長期の就労継続はなかなか叶いません。法定雇用率を満たすために採用されるケースもあり、組織側の受け入れ体制が十分に整っていないことが、その大きな理由です。

グローバル・コンセプト神戸では、受け入れ先の体制整備にも力を注ぎ、1つの職場で長期間、安定して就労できるようにすることが目標です。また、新たな就労先も積極的に開拓し、障がいを持つ人がのびのびと働ける職場を増やしていきます。

今の日本は、就労支援事業に温かな眼差しを向けてくれる人が多いですが、障がい者は社会生活を営む上で努力が足りないとか、甘えがあるから職業訓練が必要だという声があることも否めません。このような社会の偏見を見過ごさず、解決に向けて少しずつ前進していくことも、私たちの役割だと認識しています。

神戸でのさらなる飛躍を目指して

コロナ禍でリモートワークが進み、場所にとらわれず仕事ができる時代になりました。今後は神戸進出を足がかりに、北海道や沖縄にも支店を持つことが私の夢です。障がいがある人も自由に働く場所を変えられる、多様な働き方を提案したいと思っており、その基盤を構築していきたいと思いを巡らせています。夏は北海道で仕事をして、涼しくなったらまた神戸に戻って働けるような、フレキシブルなワークライフを、ぜひ実現させたいですね。

チャレンジを積み重ね、さらなる成長を実感できた時は、大好きな神戸に本社を移してもいいかもしれません。ぜひ、夢の一つに加えたいと思います。

桑迫正賀氏と神戸市担当職員

ピープリンクス株式会社

設立 1999年
取扱業務 翻訳及び校正(英語、中国語など)、データ入力、文書作成、DTPデザイン、WEBデザインほか
この他、企業や大学等学校法人への障がい者採用の支援に取り組んでいます。
所在地
〒650-0038 神戸市中央区西町35番地 三井神戸ビル4階

URL  http://www.globalconcepts.jp/

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