神戸のコワーキングスペースを一挙に紹介!
2020.01.07
※ 本企画は、自身もコワーキングスペースを利用する神戸在住のフリーライター、Rakuさんによる寄稿記事です。
※ 2019年9月から10月にかけて開催された「神戸市コワーキングウィーク」対象の6つのコワーキングスペースをご紹介しています。
こんにちは、ライターのRakuです。
ビジネス系メディアでインタビュー記事を書いたり、地域メディアで関西の話題を発信したりしています。
職場が自宅だけだと
・仕事に集中しにくい
・人と会う機会が少ない
・運動不足になる
という理由で、私自身も神戸の中心部・三宮にあるコワーキングスペースを利用しています(今回の取材対象とは別のところです)。
本記事では、利用者目線で神戸のコワーキングスペースをいくつかインタビューさせて頂きました。コワーキング選びの一つの参考になれば、うれしく思います!
●「コワーキングスペース」ってなに?
ここ数年、「コワーキングスペース」「シェアオフィス」という単語をよく聞きませんか?
フリーランス(個人事業主)や小規模な会社など、オフィスを借りるほどではないけれど自宅やカフェでは仕事がしづらい……という人たちが「仕事場」として利用するスペースのことです。
(fabbit神戸三宮)
そして「Co(協働)-working」「Share」というだけあって、単なる作業場・自習スペースではありません。
利用者同士が交流して新しいビジネスが生まれたり、地域が活性化したりすることが期待されています。
そういえばコワーキングの「Co」は、コープさん(Co-op)の「Co」。コープ(生活協同組合)は神戸発祥なんですよ。
神戸では、市がスタートアップ企業や若者の挑戦を後押しし、イノベーションを生み出す拠点づくりを支援していることもあり、この2~3年でコワーキングスペースやシェアオフィス(以下、まとめて「コワーキング」と言います)が増えてきました。
2019年10月現在で、神戸市内には約20か所のコワーキングが展開されています。
(ON PAPER)
「でも正直なところ、そんなに選択肢があったらどこを選んだらいいかわからない」
「IT系の人が難しい話をしていて、私にはハードル高くて、馴染めなさそう」
そんな声もちらほら聞くので、実際はどんな感じなのか、神戸のコワーキングを4か所巡ってきました!
*本文のデータは2019年10月時点のものです。
<今回ご紹介するコワーキング一覧>
1.大人空間でしっかり集中「BIZSHARE神戸」
2.モダンなドーム天井、生まれたての「fabbit神戸三宮」
3.メディア&ビジネスマッチングに自信「120 WORKPLACE KOBE」
4.コミュニティ重視withビール「ON PAPER」
5.「WeWork三宮プラザ East」(※ 概要紹介)
6.「WAY OUT」(※ 概要紹介)
●大人空間でしっかり集中「BIZSHARE神戸」
旧居留地にある「BIZSHARE(ビズシェア)神戸」は、シックで落ち着いた大人の雰囲気。
中央の一枚板のテーブルは、このためにわざわざ選んで発注したそう。エレベーターに入らず、スタッフが階段をえっちらおっちら運んだそうです。
神戸新聞と日経新聞が両方読めたり、コーヒー豆が2種類あったりするのはうれしいポイント。アイスコーヒーも飲めます。
入居者の職種は、アプリ開発やウェブデザイナーなどIT系はもちろん、社労士やファイナンシャルプランナーなどいわゆる「士業」の方もおられるそうで、内装のイメージとマッチしていますね。
アーティスティックな本棚。漫画『風の谷のナウシカ』の英語バージョンなどユニークな選書も人気。
会員の方にBIZSHAREを気に入った理由をお聞きしました。
・コーヒーがおいしいのはポイント高め。毎日のことなので実は大事
・コミュニティマネージャーの対応がよかった
・会員どうしの適度な距離感がいい
こちらが人気のコミュニティマネージャー、田中友梨さんです。ふんわりした空気に癒されます。
冒頭にも記しましたが、私自身もコワーキングの利用者です。私にとっては、利用するコワーキングを選ぶときにスタッフの方の親しみやすさも決め手の一つでした。
施設内の第一印象はとにかく壁面の緑が美しくておしゃれ! 田中さんによると、BIZSHAREが入るビル1階のお花屋さんのプロデュースだそう。
余談ですが、こちらがお花屋さんです。流木や大ぶりの葉物、アースカラーの植物を扱っていて独特の空気を醸し出しています。リフレッシュも兼ねて立ち寄るのもいいですね。
BIZSHAREを運営するのはオフィスの仲介を手がける不動産会社「オフィスナビ株式会社」。
入居者の皆さんがこのBIZSHAREでビジネスを拡大して個別のオフィスに移る際は、スムーズにオフィス物件を紹介してもらえることも強みです。
コワーキングは大きく「集中して仕事する系」「交流を重視する系」の2つに分かれると思うのですが、こちらは「集中系」だと感じました。
もちろん適度な雑談はありますし、会員さん同士の交流会も定期的に開催しています。
落ち着いて仕事がしたいけれど、ちょっと話す人や友達がほしいな、そんな人に合っているスペースでしょうか。
●モダンなドーム天井、生まれたての「fabbit神戸三宮」
続いてはfabbit(ファビット)神戸三宮。フラワーロードを挟んで、神戸市役所の目の前「三宮研修センター」ビルの10階にあり、2019年7月にオープンしたばかりです。
ドーム型の高い天井に心をつかまれます。ベージュの基調カラーも、自然でいいですね。
fabbitは全国各地にコワーキングを展開していて、この神戸三宮は21か所目。神戸市垂水区にある「塩屋土地株式会社」という不動産会社がフランチャイズで運営しています。
特徴はやはり、全国展開ならではの強み。
会員なら地元以外のfabbitを月に2回まで利用できます。日本だけでなくフィリピン、ハワイ、アメリカではWorkbarというコワーキングと提携していて、海外利用もできるとか。
またビジネスイベント「fabbitカンファレンス」を毎月開催。主な開催地は東京ですが、イベントの様子を中継し、ネットからリアルタイムで質問できるので、東京の情報や知見にもふれることができます。
10月のテーマは「フード・アグリ・テック」だったそうです。なんとこちら、会員だけでなく外部参加もOKで、参加費は無料。気になった方も気軽に参加しやすいのではないでしょうか。
さらにfabbit神戸三宮独自の取り組みとしては、月に一度、女性を対象にしたランチ会を行っています。
fabbitに限らず、コワーキングの利用者は圧倒的に男性が多いです。そもそもお勤めの方には「コワーキングって何?」という人もまだまだいるので、まずは近隣のオフィスで働く女性にコワーキングを知ってもらいたい、と話すのはコミュニティマネージャーの冨田紀美さん。
冨田さんご自身も育休明けでfabbitを担当することに。「仕事と家事の両立、時短メイク術など、働く女性同士、ざっくばらんにお話ししたいです!」とのこと。会員外の人にも門戸が開かれる機会が多いのがいいですね。
ソフト面に加えて、このfabbit、ハード面の充実ぶりがすごいです。
まずは抜群のアクセス。各鉄道の三宮駅から、地下街がビルの下まで続いています! 雨に濡れないのはもちろんですが、最近は気候の変化も激しく夏の暑さが殺人的であったり、冬前に急に寒くなったり。屋外に出ずに来られるのは本当にありがたいです。
そして市役所の目の前というのもメリット。スタートアップとして独立・起業する際には、神戸市役所の新産業部に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
神戸市はスタートアップ企業と連携した取り組みをたくさん行っていますし、皆さんが市役所と一緒に仕事をすることもあるかもしれませんから、移動距離が短いのは助かります。
fabbitの施設内のカウンター席からは、東遊園地の芝生も見えます。
そしてここからは私が気に入ったポイント。
まず、電源タップが木製で可愛いらしくUSBも挿し込めて優秀です。自宅にも欲しいぐらいです。
ウォーターサーバーは「水、茶、コーヒー」があるのが一般的ですが、なんとこちらはスポーツドリンクと梅昆布茶も!
電話ブースがあるのもうれしいポイント。共有スペースも電話OKですが、周りが静かだと遠慮しますし、内容を聞かれたくないときもあるのではないでしょうか。
さらに、お手洗いがコワーキングの「施設内」にあるのも助かります。ほとんどのコワーキングではお手洗いがビルのエレベーターホールの近くなどにあるので、一度ドアを出ないといけません。大した距離ではないですが、心理的距離が近いのはいいですね。
こちらでも会員さんにお気に入りポイントを聞いてみました。
・オープンしたてで、これから自分たちで作っていける感じがよい。交流や協働を重視したい
要望を気軽に伝えられるのもいいですね。これからのコミュニティ形成が楽しみなfabbit。もちろん、個別ブースもありますよ。
●メディア&ビジネスマッチングに自信「120 WORKPLACE KOBE」
3軒目は、磯上エリアにある「120 WORKPLACE KOBE」。120は「いちにーまる」と読むそうです。
こちらはビルの3フロアを貸し切る大型コワーキング。6・8階が個別ブース、7階が共有スペースです。
120 WORKPLACEの強みは、何といっても情報発信。神戸新聞社が開設・運営しており、元新聞記者のマネジャーがいるほか、現役記者の出入りも多く、メディアに取り上げられるようアドバイスをしてくれます。
利用者らのビジネスや取り組みが記事に掲載された実績は、2018年の開業以来、1年で100回近くになるそうです。
120という名前の由来には、オープンした2018年が神戸新聞の創刊120周年だったこと、次に、「120」を逆から読むと「021」→「0 to 1」となり、起業家精神にちなんだ「0から1を生み出す」という意味、そして3点目に「120%の力を出す場所にしてほしい」という思いが込められています。
IT系やフリーランスの会員が多いのはもちろんですが、地元企業がサテライトオフィスとして使うケースも少なくないそう。
120 WORKPLACEには週に3日程度、新聞社で長年営業を担当した中川伸一マネジャーがほぼ毎日顔を出し、会員とコミュニケーションを取っています。会員同士のビジネスマッチング→情報発信と、利用者のビジネスを「後押し」する体制は文句なし!
とはいえ、今は自身がコンテンツを作って発信する時代です。写真や動画撮影に利用できる吸音壁のスタジオも完備されています。発信のサポートも万全です。
カフェスペースでは、元町のカフェのハンドドリップコーヒーを270円で販売。スタッフ全員、お店に出向いてコーヒーを淹れる研修を受けたそうです。
何よりすばらしいのが、学生にやさしいこと。学割があり(2020年1月より)、通常の半額で使えるんです!! また、神戸新聞社が包括的な連携協定を結ぶ神戸大、関西学院大、甲南大の学生は学校を通せば特別利用ができます。
市民を招いてのゼミ発表会や、学生が入居する起業家から「働く意義」をヒアリングする授業なども開かれたそうで、学生・若者と社会がつながる場となっています。
このように「学生にとっていい場所だな」と誰よりも感じているのが、現場スタッフをまとめる野正(のまさ)理恵さん。
(左:野正さん 右:中川さん)
なんと野正さん、この春に大学を卒業した新社会人なんだとか。お会いした時に、しっかりした中にも可愛らしさがある印象を受けましたが、社会人1年目とは驚きです。野正さんは学生時代からオープンスタッフとして参加したことがきっかけで、新聞社とともに運営に関わる企画会社「遊心企画」に就職。
ここで色々な社会人と出会うことで、就活では見えてこなかった「社会人のリアル」を知れたことが、大きな収穫だったと言います。
さて、こちらでも会員さんの声を聞いてみましょう。
・変な「常連感」やしがらみがなく、しばらく来なくてもまた輪に入っていける雰囲気がいい
・ここで知り合った会員と、この後ラグビーの試合を見に行くから楽しみ(この日はW杯でした)
コワーキングといえばどちらかというと若者のイメージですが、120 WORKPLACEは今回巡った中で40代以上の割合も多い印象です。
若者から経営者層までいる世代の幅広さが、新しいビジネスや老舗企業のイノベーションにつながりやすそうだと感じました。
●コミュニティ重視withビール「ON PAPER」
最後に紹介するのは、旧居留地に2018年12月にオープンしたON PAPER(オンペーパー)です。
「ON PAPER」を直訳すると「紙の上」。この名前には一体どのような由来があると思いますか。
実はこちらを運営する「イディー」は、広報紙やパンフレット、WEBサイトなどを制作するデザイン会社。
会社の本業に欠かせない「紙」と、紙媒体も含めたクリエイターに使いやすいコワーキングを目指していること、また「白紙から始める」の意味などから、この名前になったとのこと。
実際に会員の職種もライターやグラフィックデザイナーなどクリエイターが多いそうですが、会計士やコンサル業、弁護士などもいて「硬軟ともに」だそう。
コミュニティマネージャーの一恩(いちおん)洋輔さんに特徴を聞くと「コミュニティづくりにこだわり、そこに人や予算をかけている」とのこと。ON PAPERは「交流系」コワーキングなんですね。
会員でない人も参加できるものを含めると、イベントは月に5~8回行なっているそうです。
一例を挙げると、お酒を飲みながら楽しく油絵を描く絵画教室、コーチング体験、話題のブログ「note」の始め方講座、元神戸ロフト店長・藤野秀敏さん(現:神戸市経済観光局 都市型創造産業統括プロデューサー)によるマンツーマンの仕事相談会など。
最近はON PAPERが企画するもの以外にも、会員さんの持ち込み企画も増えているそうです。
グラフィックデザイナーによる「デザインの基礎講座」や、淡路島に住んでいる会員さんによる淡路島の食イベントなどなど……。聞いているだけで楽しそう。
実はこちら、他に比べるとちょっと会費が高いのですが(スタンダードプラン2万円/月)、コーヒー店「LANDMADE」のスペシャルティコーヒーと、18時以降のベルギービールが飲み放題。
さらに、会員同士の「1on1」(ワンオンワン:1対1のトーク)を行っているのもおもしろいところ。
「●●さんと▲▲さん」とスタッフから発表された組み合わせで、2人が互いのことについて話します。喫茶店でお茶をしながらだったり、サシ飲みだったり、ON PAPERのカウンターだったりと、シチュエーションはさまざま。「お見合い」みたいで最初は皆さんドギマギするそうですが、終了後には互いのことがわかって、かなり打ち解けるそうです。
(1on1の様子。ON PAPER提供)
どういう基準で組み合わせるのかを一恩さんにお聞きしたところ「企業秘密」とのことでしたが、当日話した後、何かにつながる可能性を見込んでいるそう。
「業種は同じではなく、ちょっとだけずらすんです。目線の高さ、目標までの傾きが似ている人だと盛り上がります」
とのこと。イベントも1on1も参加は任意なので、負担になることはありません。
コミュニティに力を入れているとのことですが、ハードも魅力的です。まず大きな窓!海が見えるのは、見学者にも好評だそうです。海つながりで、船舶で使われるランプがあしらわれています。
メインの大テーブルは、適度な距離感でリラックスして仕事ができるよう、材料やサイズ、加工方法にこだわったオーダーメイドだとか。ちょっとした内装のこだわりに、心が動かされますね。
ON PAPERを利用する会員さんの声はこちら。
・海が見える席が気に入っている
・スタッフも会員も親しみやすい
・会員同士も普段はあいさつと雑談程度なので、1on1はけっこう楽しみ。他の人たちの実施報告を聞くのもおもしろい
・やっぱりビールはうれしい!
「集中」と「交流」の塩梅は自分で調整できるようですが、交流度の高いコワーキングを希望する人には、ぴったりだと感じました。
●取材後記「コワーキング選びは結婚と似ている」!?(フリーライター Raku)
今回、4軒のコワーキングスペースを巡りました(神戸にはもっといっぱいあります!)。
私は現在、別のコワーキングスペースを利用しています。
今回の仕事を機に取材を始めると、やっぱり初めは「私の行ってるところと、どっちがいいかな」と比べる感覚で見てしまいがちでした。
ただ本当に、どのコワーキングも個性的。本当に皆さん、それぞれに特徴や良いところがあるんです。
各コワーキングでは実際に1~2時間ほど仕事をしましたが、時間とともに自分がその空間に馴染んでくるのがわかりました。
今使っているコワーキングが大好きだけど、きっと今回取材した4軒の会員になったとしても私は、機嫌よく利用できると思います。
結婚や就職活動で「運命の相手(職場)は1人(1社)だけじゃない」という言葉を聞いたことがありますが、コワーキング選びも似ているかもしれません。
(BIZSHARE神戸)
会員プラン、ドロップインの有無などはコワーキングごとに異なりますが、すべてのスペースで見学と1~2回の体験利用(または1日利用)を受け付けています。見学すると入会せずには帰れない……みたいなところはありません。神戸のコワーキングスペースが気になっている皆さん、お洋服を試着するような感覚で、楽しみながら自分にぴったりの空間を見つけてください。
※今回は残念ながら取材できませんでしたが、神戸市内には他にも魅力的なコワーキングスペースが点在しています。簡単ではありますが一部ご紹介させていただきます。
〒651-0086神戸市中央区磯上通 7-1-5 10階
市営地下鉄海岸線 三宮・花時計駅 徒歩2分/JR 三ノ宮駅 徒歩7分
お問い合わせ
コミュニティエリア(共有エリア)
ホットデスク
専用デスク
プライベートオフィス
ブレインストーミングルーム
会議室
ウェルネスルーム
電話ブース
インターネット
飲み物提供、プリンターなどのアメニティ
約700デスク
お問い合わせ
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2019年11月1日オープン
神戸市×WeWork Japanビジネス支援プログラムあり
(WeWork LINKS UMEDA)
〒 651-0084 神戸市中央区磯辺通2‐2‐10 ワンノットトレーズビル2階
JR三ノ宮駅 徒歩8分
神戸新交通ポートライナー 貿易センター駅 徒歩1分
<全日>9:00~21:00
コワーキングスペース
キッチンスペース
プライベートオフィス
ミーティングルーム
リラックスルーム
テレフォンブース
約80席 ※イス・テーブルの追加可能
フリープラン 一般15,000円/月
学生 10,000円/月
平日デイプラン 一般8,000円/月
学生 5,000円/月
マンスリープラン 一般21,000円/月
学生 15,000円/月
プライベートオフィス契約 40,000円/月
※税抜
700円/2時間
1,500円/終日
※税抜
Wi-Fi 2Gbps
学生割引あり
法人・団体プランあり
スペースの時間貸しあり
モニタ、各種ケーブル等の無料貸し出しあり
https://wayout.bz/