
神戸本社の新設で2本社体制へ
事業拡大と人材獲得を狙う
2025.02.25
神姫バス株式会社代表取締役 専務取締役丸山 明則 氏
1927年の設立以降、路線バスや高速バスといった乗合バスや貸切バスの運行など輸送サービス事業を柱に成長してきた神姫バス株式会社。現在は輸送サービスで培った経験や信頼をもとに、不動産、旅行、飲食、保育など、グループ全体で多角的な事業を展開しています。まもなく創業100周年を迎える同社は2025年、姫路本社に加え神戸本社を開設。その目的と神戸での事業展開について、代表取締役 専務取締役の丸山明則氏にうかがいました。

思い入れのある神戸に本社を設立
当社は長年にわたり、兵庫・姫路を基盤として幅広い事業に取り組んできました。そのため「姫路の会社」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、創業当初に本社を置いていたのは神戸・須磨。私たちにとっては、姫路と同じく神戸も思い入れのある地です。
このたび神戸市の協力を得て、神戸・三宮に新たに本社を構えることとなり、2025年1月より姫路本社との2本社体制がスタートしました。神戸本社の新設は、2027年に迎える創業100周年に関連したプロジェクトの一環です。当初の計画では、現在新社屋を建設中の姫路本社と同時期に、2025年秋頃開設する予定で物件探しをしていました。実は購入を検討していたビルがあったのですが、思案している間に買い逃してしまって。そのタイミングで、人気の三宮ビルディングに空室が出たとの情報を得て、縁を感じ入居を決断。姫路本社より一足早く神戸本社を開設することにしたのです。
JR三ノ宮駅の南側に位置する三宮ビルディングは、神戸でもっともアクセスの良いビルの一つ。家賃も高いだろうと覚悟していましたが、オフィス賃料補助制度に助けられ、迷いなく一歩を踏み出すことができました。

神戸で基盤を固め、神戸以東へ事業を拡大
2本社体制を敷いた大きな目的は、神戸および神戸以東への事業拡大です。当社は県南西部を中心に事業を展開してきましたが、同エリアでは人口減少が進んでおり、輸送サービス事業を柱にする当社にとって、サービス提供エリアの拡大は必須でした。その対応策として県南東部への事業領域の拡大に舵を切り、まずは県庁所在地である神戸エリアでの事業拡大を目指すことになりました。 また、優秀な人材の確保も主たる目的の一つです。採用面接を行う際、姫路本社の一拠点だけであれば人材募集のエリアを狭めていました。この問題が神戸にも本社を置くことで解決し、兵庫県内はもとより、大阪や京都あたりまでエリアを拡大して人材を集めることができるのではないかと見込んでいます。
さらには、新たな事業の扉も開きたいと考えています。当社は長く安定的に輸送サービス事業を行ってきたがゆえに守りの姿勢が強く、新規事業にチャレンジする機運が高まりにくい組織風土がありました。現在の中期経営計画でも、神戸エリアでの事業拡大を掲げており、神戸本社は事業領域の拡大や新規事業を推進する役割を担っています。これを機に新しいことにどんどんチャレンジしていく企業文化を醸成したいと思っています。

多様性のある人材が働きやすい職場環境
グループ各社のサテライトオフィスとしても活用している神戸本社では、フリーアドレス制を導入し、壁のないオープンな空間になっています。立地の良さに加え、開放的なオフィスの雰囲気も手伝って、取引先の方などがご来訪になる機会も増えました。盛んな交流によって職場に活気が生まれるのは大変喜ばしいことです。
2025年1月には、旺盛なインバウンド需要に対応するため、当社の東京オフィスも大幅にフロアを拡張しました。オフィス選びでは「多様性」を意識しています。訪日外国人観光客向けのバスツアー「LIMON(リモン)」の中軸となっている東京オフィスには、アメリカ、スペイン、モンゴル、インド、ベトナム、ネパール出身の国際色豊かな働き手が在籍。神戸本社でもイタリアとオランダ出身の社員が活躍しています。今後ますますインバウンドをターゲットとした事業の強化に取り組む上で、外国人スタッフの力は欠かせません。そのため、交通の利便性の良さはもちろん、多様性のある人材が働きやすさを実感できる職場環境の整備に力を注いでいます。神戸はたくさんの外国人が暮らしている街なので、多国籍で優秀な人材の採用も増えていくのではないかと期待しています。

神戸から瀬戸内へ訪日外国人観光客を運ぶ
神戸に拠点を構え、いくつかの事業を新たに発表しました。その一つが、瀬戸内周遊専用の新型車両「YUI PRIMA OLIVIA(ゆいプリマ オリビア)」の定期運行です。当社の最上位車両「YUI PRIMA」をベースに定期運行できる仕様に設計したもので、2024年4月にデビューしました。2025年3月からは定期運行化し、週に2回、神戸と姫路を出発し、岡山、広島、愛媛、香川など瀬戸内エリアを6日間で巡ります。お客様は1日単位での利用が可能で、オーバーツーリズムと言われている京都や大阪から、訪日外国人観光客を神戸以西に呼び込むことが主な狙い。将来的には、神戸空港への乗り入れも視野に入れています。
神戸以東への事業拡大と並行して、兵庫県だけでなく瀬戸内エリアの活性化に貢献することが私たちの目指すところ。東は東京から西は瀬戸内まで、非常に広い事業エリアとなり、夢も広がります。
地域に必要とされる企業であり続けたい
当社では創業以来、「地域共栄・未来創成」を企業理念に掲げてきました。この言葉には「地域と共に発展し、利益を地域に還元することで未来を創る」という意味が込められています。未来創成の前に、まずは地域共栄が大事。今後は、変わらず姫路での活動を大事にしながら、神戸市民や事業者の方々とも手を取り合っていきたいと思います。そして、お客様に安心してご利用いただける路線バスや高速バスと言った乗合バス事業の運営とバス事業に付随する多様な事業を通して、地域の発展に努めていきます。


神姫バス株式会社
操業開始 1927年8月8日
事業内容
・一般乗合旅客自動車運送事業
・一般貸切旅客自動車運送事業
所在地
■姫路本社/兵庫県姫路市西駅前町1番地
■神戸本社/兵庫県神戸市中央区小野柄通7丁目1-18三宮ビルディング北館3階